G  らいる



「てめッ、いい加減に離せよこの馬鹿ッ!!」
「しかし…」
「いいから離せッ!!!」

「なんだぁ?まだやってんのかお前ら。仕方のない奴等だな」


「一括りにすんなッ!!ドイツもコイツもッ!!」

「アンタはまだ呑んでるのか…」


ドタバタドタバタ


「ハイハイハイ〜〜!私の布団はこれに決定〜〜!!」
「では俺は此処で…」
「ん?なんだ、クリムソンにエルはもう寝るのか?早くないか?」
「煩いよゼクス!ああ、ゼクスはそこで寝たまえ」
「あん?俺はどっちかって言うと入り口に近いほうが――」
「貴方に選択権はありません。そこで寝てください」
「上司に向かってなんだその態度はッ!!」
「なんだ、それならば俺は此方で寝かせて貰おう」

「ああソード、すみませんが貴方はそちらでお願いします」
「…?まあいいが…」
「………なんだこの並びは?」
「ん〜?じゃあ俺通路側も〜らいッ!オマエあっちの窓際な」
「いや、そうではなく…ッ!!」
「どうしたナイヴス、不満か?なんなら俺と変わ――ぐはッ!!?」
「あ〜ごめんごめん、手が滑ったよ」
「俺が変わってやろうか?」
「君が私の近くに来るなんて死んでもごめんだよッ!!!!」
「…ハンター組とファーム組に分かれるのでは駄目なのか?」
「嫌ですよ。そんなことをしたら、私が親父組に挟まれるではありませんか」
「エル…それはどういう意味だ」
「とにかくッ!!これでいいだろう?なんだいナイヴス?都合悪いことでもあるのかな?」

「―――ッ」

「なんだよ?んなに通路側のほうが良かったのか?じゃあ変わってやってもいいぜ?」

「ッ!!それは(ゼクスの隣なんて)駄目だッ!!!!」
「おわッ!?いきなり怒鳴んなッ!!!」
「………くッ、仕方がない…か」

「そうでしょうとも。クリムソンとソードを並べた日には、目覚めたと同時に血の池地獄です」
「…だからエルが俺と変われば――」
「嫌です」
「―――くッ」
「なあ、アイツ何が不満なんだ?」
「レイン…君ねえ、本当に気付いてないのかい?」
「何が?」
「……いいけどね」


「まあ寝る位置はそれでいいとして、お前らも呑むか?ヴィンテージもんもあるぞ?」

「おや、君の選んだものにしてはいいものなんじゃないかい?」
「どういう意味だそれは」
「あ!俺は呑むぜ。ツマミはあんのか?」
「オマエさんチーズ好きだったろ?ほら」
「気が利いてるじゃん!」
「レ、レインっ!!オマエはもう呑むな!!というかゼクスに近寄るなッ!!」
「はあ?」
「こらナイヴス、オマエな飯の時から失礼この上ないぞ?人をなんだと思って…」

「セクハラ親父でしょう」
「エル!オマエには聞いてないっつうか、そんなことをさらりと言うなッ!!」
「あ〜もう、ほら君達、今何時だと思ってるんだい?ここには私達以外の泊り客だっているんだよ!
少しは静かにした方がいいだろう」
「――クリムソンが真面目なことを言った」
「オマエ誰だ?」

「もう酔っているんでしょうか?」

「――ッ、ほんっとーーに、可愛くない子達だねぇ…次にケガをした時に覚えておいで!――それはさておき、レイン」
「あ?」
「ホラ、こっちにもいいお酒があるよ。呑むかい?」
「なんだイキナリ?貰うけど…」

「!!?オイ、クリムソン、それは――!!」


「一気に呑むのがこのお酒の礼儀だよ」
「ふ〜ん、イタダキマス―――――ぐはッ!!!??」
「レイン!?」
「この馬鹿ッ、それは――」
「ふふ〜ん、度数のめっちゃ高いお酒でした〜〜」
「げほッ!!がはッ!!?」
「だ、大丈夫か!?レインっ」
「げほッ―――ッう……」
「おや、顔が真っ赤ですよ?」
「大丈夫なのか?」
「大丈夫なわけがあるかッ!!俺でさえストレートで呑まん酒だぞッ!!」
「クリムソン!!アンタって人は…ッ!!」

「あはははは、レイン撃沈〜〜」
「て、め…――ッ………―――…」
「…本当に撃沈しましたね」
「酒に弱いのか?」
「そんなに弱くなかったはずなんだが――一体どれだけ強い酒なんだ…」

「す――…」

「あ〜あ、折角一緒に呑める相手が…」

「ソード、布団に運んであげてください」
「何故俺が――…」
「俺では持ち上がりませんから」
「まッ、待てッ!!いいッ!俺が運ぶ!」
「別に誰でも構いませんよ」

「エル、君わざとソードに振ったね?」


「―――でだ」
「なんですゼクス?」
「あ〜エルじゃない。ナイヴス、オマエだ」
「……なんだ?」

「ナイヴスはレインの寝顔を見るのに忙しくて、君の話なんて聞く耳もたないんじゃないかい?」
「なッ!!?何を――」
「ああ、それも含めてなんだがな――あんまり構いすぎると逃げてくタイプじゃないか?そいつは」

「―――は?」

「いや、『は?』じゃなくてだな。好きな相手を構いたくなるのは仕方がないことだが、
オマエさんは構いすぎだと言ってるんだ」

「おやおや、言っちゃった」
「直球ストレートですね」

「な、なんのことだ!?」

「いや、だからな。いくら好きな相手だからといって、がんじがらめにしようとするのは良くないと言うのが、俺の意見だ」
「な……な…ッ!?」
「束縛されるのも好きなヤツだっているが、そいつはどう考えたってそういうタイプじゃないだろう?
大体なあ、俺に嫉妬されても…俺にそんなつもりは微塵にもないぞ?ヤキモチもすぎるとただ鬱陶しいだけだ」

「嫉…!?ヤキモ……ッ!!!??」


「あははは、うろたえてるよ。傍からみていると面白い」
「悪趣味ですよ。確かに面白いとは思いますが」

「このご時勢だしな。俺は別に偏見なんてもんは持たんが、ノワールに悪影響を与えるのはやめてくれよ。
でないとそこの保護者が煩い」

「偏…ッ!?え?な…ッ!??」
「それと一応今回は慰労会なんだ。悪いが目立ってイチャつくのはやめとけよ?
そういうのは二人で旅行でもした時にしろ」

「イチャ…っ!!?ふた…ッ、旅…ッ!??」
「まあとにかくだ。始終べったりだと、嫌なところも目に付いて嫌われる可能性もあるから気を付けるんだな」
「――――ッ????」


「あ〜あ、すっかり動転してしまっちゃって」
「放っておきましょう。これで静かに眠れるのではないですか?」
「ああ、そうか」
「おいおい、なんだぁ!?本当にお前ら寝るのかッ?折角の酒が!」
「煩いよ。なんだかんだ言って私は今日、何度も血塗れになってるんだよ!親父の酒になんて付き合ってられないよ」
「俺もアルコールの摂取は不要ですので横にならせて貰います」
「…俺も酒は」
「おいおいおいッ!?」

「お休み〜」
「おやすみなさい」
「お先に失礼します」
「くそ〜…ほんっとーに可愛くない奴等だな。唯一相手してくれそうだったレインが一番に撃沈とは……
あ〜面白くない、俺も休むか。――おいナイヴス、オマエさんまだ起きてるんだったら最後に電気を消してくれよ?
んじゃおやすみ」




「……」


「………」


「…………」


「……………は?」







ナイヴス混乱ちう。