A  らいる



「――うむ、これでいいだろう」
「サンキュー!んー…そろそろメシの時間だよな?」
「あぁ、そう言えばそうだな。三階の紫雲の間で7時からだ」
「じゃあもうすぐじゃねーか!よっしゃ、食うぞ!!」
「待て」
「あぁ?」
「『あぁ?』ではない。髪を乾かしてからにしろ」
「は?洗ってねーし!!」
「湯に浸かったんだ、湿気を含んでいるだろう」
「別にいい。後で洗うし」
「痛むぞ」
「う」
「それにその頭で出ると誤解を招くぞ。先程もそこの阿呆どもが勘違いしていたしな」

「??」

「阿呆に阿呆と言われるのは心外だ」

「もしかしなくとも私達のことでしょうか…?」


「いいからそこに座れ」
「めんどくせーなー」
「解くぞ」
「ん」

ブォォォォ…


「熱くないか?」
「あー平気平気」
「結構傷んでいるな。手入れを怠ると後々痛い目にあうぞ」
「…ちッ、わかってるよ」

「おやおや、素直なレインなんて気持ちが悪い」

「なんか言ったか!?」

「…悪口だけはよく聞こえる耳だねぇ」

「うっせー!」
「動くなッ!」
「いででででッ!!」


「――――…ッ!ちょッ、ちょっと待った!!」

「あん?」
「何だ?」

「おや、ナイヴス復活?」

「お、俺がやろう。レイン、年長者を使うな」

「人を年寄りみたいに…別に構わんぞ?これくらい」
「だとよ」

「しかし…ッ!!」

「気にするな。…大体乾いたな。結ぶか?」
「別にいい」
「だが食事の時に邪魔だろう」
「いつもこのまんまだぜ?ま、どっちでもいーけど」
「では結んでやろう。流石に先程と同じとはいかんがな。うん、横に流すか?」
「変にならなきゃどーでもいい。てきとーにやってくれ」
「そうか。エル、お前さん色々持ってたな。貸してくれ」


「構いませんが…」

「ん…ちょッ、くすぐってぇ」
「動くなと言ってるだろう」
「……んッ」

「――――!!??!?」

「はははは、ナイヴスが面白い顔に」
「酷く動揺しているように見受けられますが…」


「よし、いいぞ」
「へ〜、おっさん見た目によらず器用だな」
「おっさん言うな!!」
「さんきゅ!よっしゃメシメシ〜〜♪♪」
「人の話を聞かんかッ!!」

「う〜ん…ホントに後ろから観ればいい感じだねぇレインは」

「…うなじが『せくしー』というやつでしょうか」
「君が言うとどうも違った響きに聞こえるよ」
「そうですか?」
「まぁどうでもいいけど。…色白だし襟足のラインが綺麗だから、うなじを出してると本当の女性に見えなくもない」
「そうですね。ああやって彼と並んで歩いていると余計にそう見えます」


「!!」

「無駄にでかいからね。レインが低いわけでもないけれど二人が並ぶと、後ろから見れば恋人同士だ」

「!!?」

「正面から見てもそう見えるのでは?先程ナイヴスが女顔と言っていたことですし」

「!!!!!!」

「はは、君結構空気読まない発言多いねぇ。嫌いじゃないけど」
「?何か可笑しなことをいいましたか?」
「いやいやいやいや。私に害さえなければ楽しい事は大好きだよ」
「???」
「いや〜、思ったより楽しい旅行になりそうだよ。ノワールの保護者Uがいなくなりそうだし」
「貴方の言っている事がよくわかりませんが…」
「『他人事』というやつだよ。人の不幸は蜜の味って言うしねえ?」
「……はぁ…?(やはり理解不能ですね…)」





「……レイン…綺麗…」
「あ?そうか?」
「うん。自分で結んだの?」
「んにゃ、おっさん」
「ゼクスが!?」


「ノワール!!『おっさん』ですぐに俺を連想するな!」

「…なんだかいいな」
「何がだよ?」

「おい、俺は無視か!?」

「だって…女の私から見ても綺麗だなって思えるから…」
「ん〜?惚れるなよ」
「そういう意味ではないんだけど…」


「だから俺を無視するなーーッ!!」







ナイヴスもやもや中(笑)




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